今週の一冊:妹まえから 姉うしろから
作者:青木幹治
ふたつの愛情、ひとつの家で描かれる不器用な三角関係
妹はまえから真っ直ぐに気持ちをぶつけ、姉はうしろから静かに距離を詰めてくる。同じ家に暮らす二人の異母姉妹に挟まれた主人公の日常は、いつしか穏やかではいられなくなっていく——そんな導入から物語は動き出す。
作品の深掘り
青木幹治氏の筆致は、家族というありふれた関係性の内側に潜む緊張感を丁寧に掬い上げている点が特徴だ。妹の直情的な言動と姉の抑制された視線の対比が、コマの間隔や表情の描き分けによって説得力を持って表現されており、単なる状況設定の面白さだけでなく、キャラクターの心理の揺れそのものが読ませる力を持っている。姉妹ものコミックのレビューを探している読者にとっても、キャラクター造形の緻密さは注目に値するだろう。なお、家族や身近な関係性における緊張と欲望というテーマに興味があるなら、ももこ/辱めもあわせて読むと、作家性の違いや切り口の対比が見えてきて面白い。
見どころ3選
- 正反対の性格を持つ妹と姉、それぞれの心理描写の緻密さ
- 家庭という日常空間に漂う緊張感を丹念に描く画面構成
- 主人公の視点を通して揺れ動く感情の変化がリアルに伝わる展開
こんな人におすすめ
身近な関係性の中でじわじわと変化していく心理劇を好む読者に向いている一冊だ。派手な演出よりも、キャラクター同士の距離感や表情の変化を丁寧に追いたいという、じっくり読みたい大人の読者に特におすすめできる。
執筆:V-Library30 編集部
30代男性の限られた夜を、最高の一本で彩るためのアーカイブ。
★ 4.92(レビュー13件)


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